文官として鎌倉幕府の歴史を書き綴った二階堂氏の祖・二階堂行政

吾妻鏡の文書 鎌倉時代の人物録

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ちょっと地味な二階堂行正のキャリア

下級貴族の工藤氏出身です

二階堂行正(にかいどうゆきまさ)という二階堂氏の祖となった人物は、藤原南家の流れを汲む工藤氏に生まれています。工藤氏は同じ藤原系列である藤原北家に出世レースで惨敗しており、地方へ活路を求める者もいましたが、朝廷に残った者はしがなく宮仕えするという典型的な下級貴族でした。

行正の父・工藤行遠は殺人の罪で尾張国(愛知県北部)に配流されたヤンチャな人物ですが、配流先で熱田神宮の大宮司・藤原季範の妹との間に行正をもうけています。藤原季範は源頼朝の母方の祖父に当たるため、頼朝から見た行正の続柄はお祖父ちゃんの甥、つまり「イトコ叔父」という現代であれば法要くらいでしか会わなそうな関係性です。行正は成人した後には下級官吏として平氏政権で働いており、治承・寿永の乱が始まった年には朝廷でプチ出世をした記録が残っています。

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武士ではあれど主な仕事はデスクワーク

二階堂行正の生没年は不明となっているため確かなことはお伝えできませんが、行正の長男である二階堂行村は1155年生まれであるため、ざっくりではありますが1130年代くらいの生まれでしょう。大体同年代で同じ様に朝廷で宮仕えをしていた三善康信が1184年に御家人になっているため、行正もこれとほぼ同時期の鎌倉入りかと思われます。つまり行正が御家人になった時の年齢はすでに50歳前後ということになり、かなり遅めの武士界デビューとなっております。

朝廷で宮仕えをした経験を持つ行政は、当然ながら生粋の武士ではありません。源頼朝としても武士としての行正を買ったのではなく、朝廷で長く仕事をしていたことによる事務能力を買ったのでしょう。行正は政所別当(まんどころべっとう・幕政の主要機関の長官)の大江広元の下で政務を執り行い、三善康信や中原親能といった貴族あがりの文官組と共に政治面で幕府の草創期を支えています。

大江広元についての記事はこちらからどうぞ。

文官として「鎌倉殿の13人」に

大江広元が不在の折にはその権限を代行するなど、二階堂行政は幕政の主軸として地味に活躍していたものと思われます。行正の息子2人も順調に出世しており、長男の二階堂行光は政所の執事として父の元で働いています。また次男の二階堂行村は後に軍奉行を務め、そして朝廷から「検非違使(けびいし、警察長官くらいです)」に任命されているため、やや軍事寄りに舵をきって出世していったのでしょう。

1199年に源頼朝が突然亡くなり、源頼家鎌倉殿の地位を継いだことで始まった、十三人の合議制に行正もキッチリ名を連ねています。これには政所別当である大江広元、そして文官組である三善康信もメンバー入りしているため、この合議制はゴリゴリの武士だけでなく、政治的な配慮ができる人員もキチンと含まれていたことになります。合議制は将軍頼家の独裁を抑えるのが主な目的で発足していますが、行正ら文官組を入れているということは、ある程度しっかりとした政治をしようという意図も感じられます。

源実朝が将軍に就任した頃にふんわりと退場

結局この十三人の合議制は梶原景時の変を皮切りに、共に合議制メンバーの三浦義澄安達盛長が病死したことですぐに解体してしまいました。そして北条時政比企能員の変で政敵を打倒し、さらには将軍の頼家を暗殺、自身の傀儡として源実朝を3代将軍に就任させました。この時の実朝はまだ子供ということで執権という特別職を創設、時政は自らその座に就き独裁体制をとっています。

北条時政についての記事はこちらからどうぞ。

行正はこの執権職が立ち上がった時期に差し掛かると、突然幕府の記録からその名前が消えています。この時点で大体70歳前後なので老衰による病死が妥当な線ではありますが、それだったら普通に記録に残っていそうなものですよね。合議制にも名を連ねる程の大物が痕跡も残さず忽然といなくなるという、モヤモヤ感の残る幕切れで行正は姿を消しています。

吾妻鏡に残る二階堂一族の記録

二階堂行政と2人の息子は多くの筆録を残していたようで、その記録は「吾妻鏡」にも多く用いられており、我々現代人が鎌倉幕府の草創期を知るための重要な資料となっています。「吾妻鏡」という記録文書は、「こういう経緯で仕方なく北条氏が執権として幕政を独裁していますよ」という言わば言い訳用の歴史書なのですが、資料が少ない鎌倉時代のことを知るための貴重な文書となっています。行正の息子たちはその資料作りを手伝わされた格好になっていますが、その代償としてか二階堂氏はこの後も各地でほどほどに繁栄を続け、室町時代や戦国時代あたりでもチラホラ見かける中流武家として存続しています。

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