建武の新政から室町幕府の成立まで
鎌倉幕府を滅亡に追い込んだ後醍醐天皇により、「建武の新政」と呼ばれる朝廷主導の政治体制が始動しました。ですがこの新体制は武士に不評だったようで、不満を抱えた元幕府の御家人が鎌倉に集結し、「中先代の乱」と呼ばれる反乱を起こしています。この事態の収束に向かった足利尊氏は反乱を鎮圧するとそのまま鎌倉に居座り、なぜか幕府将軍であるかのごとく勝手に武士達に恩賞を与えました。この尊氏の振る舞いに後醍醐天皇は反乱の意図を汲み取り討伐軍を差し向けると、スッタモンダの挙げ句に尊氏はこれを撃退、その後九州への逃亡劇などありながらも、最後は尊氏が勝利して室町幕府を立ち上げています。
南北朝時代の到来と観応の擾乱
京都から脱出した後醍醐天皇は、大和国（奈良県）の吉野に拠点を設け京都とは別に独自の政権・南朝を作り上げました。一方の室町幕府では足利尊氏の弟・足利直義と、足利家の執事であり軍の司令官である高師直の争いが激化しますが、高師直が直義に追放されたことで一旦収束しています。ところが軍のトップに足利尊氏が立つと今度は尊氏と直義の間で争いが起こり、敗北した直義は南朝に身を寄せて反撃を企てました。直義の養子・足利直冬の参戦など戦いが拡大していくと、尊氏は三種の神器を南朝に譲ることで直義と南朝を分断、尊氏が勝利し「観応の擾乱」がようやく収束しています。
3代将軍足利義満がもたらした繁栄期
足利義満は足利義詮（よしあきら）の跡を継いで征夷大将軍に就任すると、各地の反乱を鎮圧しながらも武士達の統制を強めました。義満は武士だけでなく朝廷や寺社勢力の統制も目指し、それぞれと直接対話をすることで問題点を一つひとつ解決、良好な関係を築き上げています。そして初代将軍・足利尊氏の頃からの懸念材料だった南北朝を統一、この功績が認められて最高の官位をゲット、ここで武家と公家両方の頂点に立ちました。日明貿易を開始して国庫を潤すなど幅広い分野で活躍した足利義満は、その偉業を称える意味で死後一時的ではあれど上皇の称号を手にしています。
足利義満以降の4人の将軍をざっくりと
あまりに偉大すぎる3代将軍・足利義満が亡くなった後、しばらくの間はインパクトのある時期が訪れていません。冊封体制を嫌って日明貿易を中断した4代将軍・足利義持、将軍に就任してわずか2年で亡くなってしまった5代将軍・足利義量（よしかず）と、地味な時代が続いています。ですが足利義量が2年で急死したことで跡継ぎ問題が勃発、結局おみくじで将軍を決めるという珍事が起こり、当てたというか当たってしまった足利義教（よしのり）が6代目の将軍に就任しています。この足利義教も暗殺されて急死してしまったため、7代目の足利義勝はわずか7歳で将軍になっていますが、義勝は将軍になってわずか8ヶ月で亡くなってしまい、応仁の乱を引き起こす8代将軍・足利義政が登場します。
足利義政の後継者を巡って起きた応仁の乱
比較的精力的に活動した足利義政でしたが、妻の日野富子との間に子供が産まれず、後継者に悩みを抱えていました。義政は結局子供を諦めて弟の足利義視（よしみ）を後継者にしますが、このタイミングで日野富子が子供を出産、この子が男児だったことで逆に後継者で揉め始めました。すでに後継者とされていた足利義視も今さら引っ込みがつかなく、また息子を将軍にしたい日野富子も一切折れず、両者がそれぞれ有力な守護大名に後見を依頼し武力での解決を図ったことで「応仁の乱」が勃発しています。この「応仁の乱」は次第に戦線が拡大していきましたが決着が付かずに泥沼化しており、結局10年に渡って続き室町幕府が大きく弱体化、そして日本の勢力構造が一変したことで戦国時代が訪れています。
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室町時代を切り開いた初代将軍・足利尊氏の物語は、鎌倉幕府と後醍醐天皇の争いが始まったことで幕を開けています。後醍醐天皇率いる朝廷軍を討伐するために京都へ向かった尊氏でしたが、数回戦った後に天皇側に味方し、逆に幕府軍に攻撃し朝廷軍を勝利に導きました。そして建武の新政が始まった後に中先代の乱をキッカケにして鎌倉を占拠、今度は独立軍として後醍醐天皇と戦い、勝利したことで室町幕府が成立しています。その後に起きた観応の擾乱で弟の足利直義をも打ち破るなど、足利尊氏はほとんどの時間を戦場で過ごすという過酷な人生を送っています。
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