源氏物語に関わる豆知識

平安時代のまとめ・その他記事
源氏物語の作者・紫式部

源氏物語の作者は紫式部?

実は作者すら推測です

今回の記事では平安時代を代表する文学小説、源氏物語についてのアレコレを色々と勘ぐりながらご説明したいと思います。

まず、この物語の作者とされている紫式部についてですが、実は本当にこの女性が作ったかは明確ではなく、推測でしかありません。

というのも、そもそも源氏物語の原本自体が現存しておらず、現代にその物語を伝えたのは写本、つまり手書きで写したコピーです。そして問題は、写本には写した人の名前だけが残っており、その大元である原本の作者についてはノータッチだったりします。

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少なめの材料からのコジツケか

それでも教科書には「源氏物語の作者=紫式部」なんて書いてありますが、少し調べるだけで色々な疑問が浮かんできます。それでも一応の根拠はありますが、紫式部が他の貴族から「源氏物語の紫ちゃーん」などと呼ばれた、または「源氏物語の作者は日本史マニア(紫式部は日本史に詳しかったようです)」なんて記録がアテにされているだけで、明瞭な根拠とするにはパンチ力不足が否めません。

まあ紫式部は百人一首にも和歌が採用される程の才女ですので、作者だった説にも十分な可能性があるかなと思います。しかし、他の人が作者だった説も根強く残っており、その中の一つとして源高明(みなもとのたかあき)説があります。

源高明の鬱憤晴らしだった説

作者候補に挙げられる源高明という公家ですが、この人物は源氏物語の主人公「光源氏」のモデル候補の一人でもあります。もしモデルで作者であればただの自伝小説ということになってしまいますが、そんな疑惑が沸いてくるには一応の理由があります。

日本史における源高明は藤原氏との政争に敗れて左遷させられていますが、作中での権力争い、そして女性の奪い合いでもむしろ藤原氏が負け役です。つまり、現実の負けを取り返そうとして源氏物語を作ったというシナリオになりますので、もしそうだとすれば結構儚い物語なのかなと思えてきますね。

源氏名の由来は源氏物語

現代でも使用される源氏名

たま~にキャバクラなんかに遊びに行くと、横に座ってくれる女性に「ミユキで~す」とか「ハツネで~す」とか名乗られますが、これは大体の場合実名とは別ですよね。こういった仕事上で女性が名乗る名前を「源氏名」とか言いますが、この語源は源氏物語と言われています。

源氏物語は大長編のため54巻もあるのですが、この1巻1巻それぞれにかなり雅な巻名が付けられています。それは「行幸(みゆき)」だったり「初音(はつね)」というような巻名なのですが、こういったおシャレなネーミングは今も昔も大人気だったようです。

現代女性の名前にもありそうな巻名と巻数

  • 9巻:葵(あおい)
  • 14巻:澪標(みおつくし、名前だったら澪だけになりそうですね)
  • 23巻:初音(はつね)
  • 25巻:蛍(ほたる)
  • 34・35巻:若菜(わかな)
  • 39巻:御法(みのり、字はすげ替えられそうですが)

多くの女性に受け入れられた源氏名

最初に源氏名が使用されたのは源氏物語が作られた平安時代、当初は風俗産業の代表格たる遊女達が仮の名前として使用していました。ところが、源氏名が持つ雅な響きは武士や貴族階級も虜にしたようで、天皇家に仕える女官や武家の女性が名乗ったケースも結構あったりします。

そもそも紫式部という名も巻名の「若紫」にちなんでいたということで、ひょっとしたら源氏名を最初に使ったのは作者本人だったのかもしれませんね。ちなみに、源氏物語の巻名は54しかないということで、時代が下るとともに巻名に由来しない源氏名も増えたのですが、こういった源氏物語に関係ない仮名も源氏名として扱われるようです。

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